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【要約】『ソクラテスの弁明』を簡単に解説。~心を奮わせる哲学の父の言葉~

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悩んでる人

「哲学に興味があるけど難しそう、、、何から読んでいいのかわからない」
「周りの目が気になって、自分の意見を通せない」

哲学の本もしくは『ソクラテスの弁明』に興味を持っている方は上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

一人の時間が増え、社会を知る度に、理不尽なこと、様々な困難が私たち人間に立ちふさがります。

そんな誰でもが通る人生の悩みは普遍的なものが多いもの

そうやって考え抜いた先に哲学という思想があります。

今、生きているうえで困難なことも普遍的な哲学の思想から学べることは多いです。

実際に高校生の多感な時期だった私は、一人も友達がいない学生でしたが、

自己啓発本をむさぼり読んでいた時期を卒業し、哲学に触れ何度も人生が救われた経験がありました。

今回はそんな哲学の入門書とも呼べる「ソクラテスの弁明」について大きく3つに分けて解説していきます。

本記事の内容

・『ソクラテスの弁明』の著者、時代背景

・要約をポイントごとに解説

・無料で哲学書を読み漁る方法

この記事で哲学がよくわからない人も『ソクラテスの弁明』の要約を知りたい人も、

すんなり理解できるようにまとめているので気軽に読み進めていってくださいね。

それでは哲学の父の思想を見ていきましょう!

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『ソクラテスの弁明』 作品情報

書籍詳細 内容
書名 『ソクラテスの弁明』
『クリトン』
著者 プラトン著
久保勉訳
出版社 岩波書店
発行年月 1927年7月
定価 520円+税
頁数 135ページ
目安所要時間 3~4時間

今回は岩波書店版の『ソクラテスの弁明』を紹介していきます。

内容は150ページにも満たない薄い本ですが、いきなり読むと引っかかるところが多くあるかもしれません

この本自体は訳書ですが

作品自治は紀元前399年頃、ギリシアのポリスである「アテナイ」(現ギリシアの首都アテネ)

を舞台に実際に行った裁判を元に弟子のプラトンが書いたものです。

あらすじを読む前に当時の裁判背景、ソクラテスと言う人物を知ることによって、この作品が何倍にも面白く感じるので、簡単に紹介していきますね。

ポリス:都市国家のこと古代ギリシアで市民が民主政治を行っていた場所

プラトンについて

ソクラテスは古代ギリシアの哲学者として知られ「哲学の父」とも呼ばれています。

その弟子にあたるのが著者のプラトン

プラトンの弟子のアリストテレスと合わせて3人は古代ギリシアの三大哲学者と呼ばれているくらい有名な哲人たちです。

ただここまで有名な哲人と言われているソクラテスには自身で書いた著作が一つもありません。

師が一作品も残さなかったのに対し

プラトンがソクラテスを主人公とする「対話篇」作品を書き、30篇以上を超える生涯で書き続けています。

プラトン対話篇では、初期・中期・後期

成立年代によって3つに分かれ

初期に書かれた

『エウテュプロン』は『ソクラテスの弁明』前編に当たる作品です。

プラトン作品を、物語の時系列に並べると以下の通り

プラトン対話篇

『エウテュプロン』

『ソクラテスの弁明』

『クリトン』

『パイドン』(ソクラテスの死刑の日)

本書ではではいきなりソクラテスが裁判員たち、告発者たちに対しての弁論から始まるため、

『エウテュプロン』や時代背景を念頭に入れておく必要があります。

いきなり読み始めるとわかりにくいのは、物語が途中から始まるから

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裁判前の時代背景

前述した通り、古代ギリシアの「アテナイ」での裁判が舞台となりますが、裁判にいたった経緯として当時の歴史が大きく関わってきます。

引き金は対立していたポリスである「スパルタ」との全面戦争「ペロポネソス戦争」

アテナイは破れ、国家全体は打撃を受けてしまいました。

ここからたくさんの人の意見を聞いて国を良くしていこう!という風潮が出てきます

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その後に現れた、「デマゴーグ」「ソフィスト」という2つの存在により

知識や弁論術を持っている人間が優れているという考えが浸透していきます。

デマゴーグ:刺激的な嘘(デマ)を発信することによって、人々の行動や考えに影響を与えようとする政治家

ソフィスト(知者):弁論術や自然科学等を教えて報酬を受け取る、家庭教師みたいな人たち

初めての民主制が確立されてきて、政治についてみんなが考えて意見を出すようになっていき、

人々は議論に勝てるよう弁論術や知識を求めるようになるんですね

こういった政治家や哲人になりたい人に教えを与えていたのがソフィストでした。

民主制:組織の決めごとを国民、民衆の多くが一緒に決める政治

このソフィスト(知者)の中には、いかに相手を論破するのか?を考えている人が多くいて、間違った内容や意見を教えたり意見などもコロコロ変わっていたことに対して、不信感やうさん臭さを感じていた民衆も多くいたそうです。

そこであなたの意見矛盾してるよね?本当に知ってるの?と問答法によって自分の思想をぶつけていき客観的な心理を追及していたのが、70代の老人であるソクラテスでした。

問答法:相手に質問を投げかけることによって、相手が何も知らないことを気付かせる方法

ソフィスト、詩人、名のある政治家たちは赤っ恥をかいたことから徐々に恨みを買っていき、裁判にいたったと言われています。

若者の間ではソクラテスの思想は非常に慕われ、弟子も多くできました。

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『ソクラテスの弁明』あらすじ・要約

あらすじ

ペロポネソス戦争の後、ソクラテスの思想に対し恨みを持っていた政治家 アニュトス
詩人メレトス、弁論家リュコンの3人の告発者によってソクラテスは神を信じない、若者を堕落させる者として無実の罪を問われます。
3人の狙いはソクラテスの泣きっ面や慌てふためく姿を聴衆の前で見せつけ、その鼻筋をへし折ってやろうというもの
告発者がソフィストらしい悠長な言葉遣いで弁論を行う中、ソクラテスはいつものように穏やかな口調で
「アテナイ人、諸君。私を告発した彼らの弁論は私を忘れるくらい素晴らしいものであった、ただ彼らは一つも真実を話してはいない、
彼らは私が口が上手いと言うが、決してそうではないことを、今から私の話を弁明を聞けば一目瞭然だろう、私は思いつくままに正しいことを話すのだから。
私のような70近い老人が青年のようなテクニックをつかった弁論は似合わない。
私が話すことは真実のみであり、言葉遣いなどではなく話されている内容が真実か同かであることのみに注意をはらってほしい」

このように彼は弁明を続け、自分が正しいことを証明していきます。

ソクラテスが告発された理由

ここから弁明が続くにつれ、ソクラテスが告発にいたった経緯が話されますが

起訴された背景は3つあります。

ソクラテスが起訴された理由

①国家公認の神を信仰せずに独自の神を信じている

②青年を没落させているという噂が流れる

③教え子が政治に悪影響を与えていた。

前述の通りソクラテスが多くのソフィストに恨まれていたのは

ソクラテスが、ソフィストや政治家たちが何も知らないのに知ったふりをしていると指摘したから

彼が知識のあると言われている人たちの元を訪れ続けるのは

神の意見のもと行動してるからです。

弟子の一人のカイレフォンという人物が

古代ギリシアにある「アポロン神殿」の神託所に以下の質問を投げました。

「この世界でソクラテス以上に賢いものはいるか?」

デルフォイの神からのお告げは

「ソクラテス以上に賢いものは一人もいない」

と答えたのに対し、ソクラテスは、自分は何も知らないと思っているから、神様が言ったことが正しいかを自分で調べる必要があると

あらゆるソフィストや、賢者と呼ばれている人たちに聞いて回るようになります。

当時自分が賢いと思っていた人たちのプライドぼこぼこにされてしまいました。

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当時偉そうにしていた、政治家や賢者が反論できなくなっているのを見て若者たちはソクラテスを尊敬し、彼の思想を真似し始めたところから、国家にとって危険と感じたことや

彼の弟子が戦争の時に敵国に情報を漏洩したことや、恐怖政治をしたことによる政治的な要因などもかみ合って、告発にまで至ります。

ソクラテス自身は善良な市民でしたから、濡れ衣もいいところですよね、、

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最後に弁明の中で出てきた、有名な場面を3つのポイント紹介していきます。

ポイント

・無知の知

・死は不幸なものではない

・善く生きることについて

「無知の知」

”「人間たちよ、汝らのうち最大の賢者は、例えばソクラテスの如く、自分の智慧は、実際何の価値もないものと悟ったものである」”

「ソクラテスの弁明」

智慧(ちえ):本質も見抜く力

先程のデルフォイの神が質問に対して答えたのを、ソクラテスが上記のように解釈しています。

実際にソクラテスは、神の言うことが本当かを調べるために実際に賢者に聞きますが、実際に話してみると何も知らないことをあたかも知っているような素振りで話す人ばかりであることにを知ったことに対して本当の賢者とは何か?ということを指した有名な言葉です。

無知の知は知らないことを知っている自分の方が賢いよ!という謙虚さではなく。

知っていると勘違いしてしまうとその先のもっと知りたいという好奇心を止めてしまうので

自分は何も知らないのだから、貪欲に知ろうとしなさいと積極性のある言葉なんです。

哲学の語源はphilos愛+sophia知からきています。

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私たちの人間関係や会社でも、知ったつもりになってしまうことは良くあります、

ただそこで成長を止めずにつねに自分を疑い、探求していくことが重要ですね。

この思想が広まり宗教や信仰を疑い、科学が発展して現代につながっているので、

普遍的な心理として現代社会にも通じる考えです。

「死は不幸なものではない」

人生とは何か?死とは何か?は哲学でも永遠のテーマとして語られますが、

その基盤である考え方もこの本に書かれています。

投票の結果ソクラテスは有罪のあと死刑と宣告されますが

彼にとって死は全く恐ろしいものではありません。

多くの人は死=怖いもの恐ろしいもの

と考えていますが、実際に死についても知らないのだから、死は幸福であるといった可能性についても考えるべきとソクラテスは話します。

死は、痛みや苦痛から離れた肉体からの開放かも知れないし、現世からあの世までの移動で深い眠りのような安らかなものかもしれない、

私が不正を働かないように警告してきた(神の)声が阻止してこないのはこれから死が良いことであるからである。

あの世でも誰が賢者で誰が賢者のフリをしているのか変わらずに確かめると宣言していることからソクラテスの意思の強さ、死についての前向きな考えがうかがえます。

実際に、この死生観は一生をかけて話される永遠のテーマになりますね、

「善く生きることについて」

次編の『クリトン』で書かれていることについても触れておきます。

友人であるクリトンは死刑が決まったソクラテスに投獄を説得しますが、

ソクラテスはこれを拒否します。

一番大切なことは、ただ単に生きるということではなく、善く生きるということである

この世の中は、嘘や欺瞞に溢れていますが、自分を偽り不正を働いた先に生きがいなんてものはないときっぱり諭しているところから、

彼が人生において、生きることにおいて本質を誰よりも見抜いていたことがわかります。

多くの哲人が彼を慕うのも、一つのゆるぎない原則、信念を守っていたからですね。

訳者も絶賛!不朽の名作として支持される理由

芸術的にも高く評価をされている作品

こちらは、訳書の解説なんですが、超べた褒めしていました(笑)

要約すると、世界史を一貫してもソクラテス以上に人格を持った人から教わる最も意味のある、輝かしい3篇(ソクラテスの弁明、クリトン、パイドン)は不朽の名作だ!

といった感じです。実際に少しの誇張や脚色された部分があるにしても、

プラトンが詩人としての芸術的な技量によって、芸術作品と呼べるべきものになっていると、

訳者のなかでの面白い見解もおまけとして楽しめました。

考える読書として、頭を使いますが読み終えた際の爽快感はそこらの自己啓発本にはないものがあります。

自分の意見を通すのが苦手、周りの目を気にしてしまうといった方にもぜひ古典にチャレンジしてみることをおすすめします。

『ソクラテスの弁明』を無料で読む方法

本書は、中古書店やAmazonでの購入もできますが、

購入の前にどんな内容かじっくりと見たいといったかたに

無料で読む方法が2つあります。

>>>kindle unlimitedで読む

>>>audibleで聴く

私は書籍版とkindle版で読んでいます。

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「ソクラテスの弁明」では極力訳注を入れることを訳者が控えているため少なめですが

オーディオブックの特徴として、訳注までよんでしまうため、気になり方はいるかもしれません。

30日間はどちらも無料なので自分に合った方法を試してみてくださいね。

まとめ:人生に影響を与える哲学

ここまで『ソクラテスの弁明』について要約、解説をしていきました。

正直読書に慣れていない方は最初は難しく感じるかもしれません。

ただyoutube動画などでもわかりやすく解説されていますし、

当時の時代背景を知りながら読み進めていくのも、古典ならではの良さがあるため、

哲学をこれから読んでみたいと思っている方は最良の一冊だとおすすめできます。

普遍的な思想は実生活にも役立つので、悩みがある方は、哲学に触れるのも一つの方法です。

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